小児皮フ科についてabout Pediatric dermatology

症例のご紹介

赤アザ

単純性血管腫

体のどこにでもできる可能性があります。生後すぐに発見されるので小児科や産婦人科で発見されることが多いです。5~10回はかかりますが、幼少期から根気強くレーザー治療を行うことで目立たなくなります。
当クリニックでは、皮膚が薄い乳児期、幼少期にレーザー治療を開始して、少しでも早く薄くしていきたいと考えています。もちろん大人になってからでも遅くはないですが、幼少期から治療を開始した方が、より効果が出るという結果がでています。麻酔テープ、あるいは麻酔クリームを塗布した後にレーザー照射を行います。

治療方法
  • VbeamⅡ
副作用

一時的な紫斑、内出血


乳児血管腫

生後数週間後に発見される赤あざです。生後6ヶ月まで増大し、イチゴのように盛り上がるのでイチゴ状血管腫と呼ばれていました。5~6歳までには自然消退することが多いとされていますが、自然消退しないこともあり、早めのレーザー治療が推奨されています。麻酔テープ、あるいは麻酔クリームを塗布した後にレーザー照射を行います。

治療方法
  • VbeamⅡ
副作用

一時的な紫斑、内出血

青アザ

異所性蒙古斑

生後すぐは、ほとんどの赤ちゃんが背中やお尻に青いあざができます。蒙古斑と呼ばれ、5~6歳までには自然消退します。薄い蒙古斑は自然に消退するのでレーザー治療を行わないことが大半ですが、濃い蒙古斑については早めのレーザー治療が有効です。背部や臀部だけでなく、足首や手首にもあざができる場合があり、濃い場合は早めに皮膚科で相談してみてください。濃く青い蒙古斑は消えずに残ることが多いため、早い段階でレーザー治療をすることできれいになります。
濃いものは大人になっても残っている場合が多いです。大人になってから照射すると色素沈着が強く残るため、幼少期の早めの治療をお勧めします。

治療方法
  • Qスイッチルビーレーザー
副作用

痂皮形成、色素沈着


太田母斑

顔面にできる青あざです。左右のどちらかにできる事が多く、生後すぐに見つかることが多いです。顔面に青あざができている場合は早めの皮フ科受診をお勧めします。
治療法としてはレーザー治療が有効で、これは大人になってからでも遅くはありません。また、太田母斑はあざの中でも特にレーザー治療が有効なあざです。

治療方法
  • Qスイッチルビーレーザー
副作用

痂皮形成、色素沈着

茶アザ

扁平母斑

ぼんやり薄い茶色いあざはほとんどが扁平母斑というあざです。あざの中でもレーザー治療が無効な場合が多く、多くの場合が再発してしまいます。
体にできるものは目立ちにくいですが、お顔にあると気にされる方も多いです。幼少期に早めにレーザー治療することが有効とされていますが、それでも再発したりより濃くなったりすることがあります。まずは早めに皮フ科へご相談ください。

治療方法
  • Qスイッチルビーレーザー
副作用

痂皮形成、色素沈着

乳児湿疹

一歳未満の乳児期に起こる湿疹を、乳児湿疹または乳児脂漏性湿疹といいます。
皮脂による刺激や人の毛穴に常在するマラセチアというカビが関与しているとされており、皮脂の多い頭や額、口の周りに白色や黄色のようなカサカサした粉を伴った赤い皮膚症状が現れます。

 


新生児期から乳児期にかけて皮脂の分泌が徐々に活発になり、頭部や顔の他、首、腋、股といった脂漏部位に好発します。

 

成長につれ乳児湿疹は軽快し2歳までにほとんどのお子さまが治癒しますが、放っておくと悪化して「とびひ」を発症したり引っ掻いて痕が残ってしまう場合もあるので早めの受診をおすすめします。

アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎は長期間に渡って痒みを伴う湿疹が繰り返し現れます。
その原因は、遺伝や乾燥肌、汗、ほこり、ストレス、よだれ、食べ物などさまざまな要因が複雑に絡み合っていることが多いです。
アレルギー体質と治療歴に関して詳細な問診をとり、適切な治療にあたります。

治療方法
  • 外用療法
    • 塗り薬…ステロイド軟膏、非ステロイド軟膏、タクロリムス軟膏、保湿剤
      ※保湿剤を使用する際は、入浴、シャワーなどで皮膚を清潔に保ち、
      その後使用してください。こすりすぎない点がポイントです。
    • 飲み薬…痒みを抑える抗アレルギー剤、重症の場合は免疫抑制剤など
  • 紫外線療法・・・痒み対策となります。

とびひ(伝染性膿痂疹でんせんせいのうかしん)

とびひは、乾燥肌や湿疹、水イボなどを掻きむしり皮膚表面に傷がつき、細菌感染を引き起こし、他の正常な皮膚に広がっていく症状です。
その感染の早さから、あっという間に近くに燃え広がるという意味の「飛び火」という名がつけられました。

治療方法

塗り薬での処置を行い、症状が重い場合は抗生剤の飲み薬を処方します。原因の細菌を特定するために皮膚をこすって培養検査も行うこともあります。入浴や爪の手入れなどで皮膚を清潔に保っておくことがとても大切です。
お家での処置方法や入浴方法などを指導します。

虫さされ

多くの方が虫さされに悩まされた経験があるのではないでしょうか。
虫刺されによる腫れのほとんどは虫が持つ毒成分に対するアレルギー反応です。

 


季節によって流行りがあります。
春~秋:蚊、蚋、マダニ、チャドドクガ(幼虫は春~夏)
夏:アブ、ネコノミ、ハチ

 


被害が特に多い時期は、春~夏のレジャーシーズンにかけてです。
虫よけスプレーの使用や、長ズボン長袖の着用などによる予防が大切です。

 


また近年、森林や山でマダニに刺されてしまう方が増加しています。
マダニに刺されること自体は少しの痒みと痛みがあるだけなので自分で処置される方が多いのですが、 病原体を保有している虫に刺されている可能性があります。その場合、ツツガムシ病やライム病といった感染症にかかることがあるため、万が一のことを考え、一度受診されることをおすすめします。

 


虫や血豆のようなもの(マダニそのものの可能性があります)がくっついている場合などあれば、皮膚科受診が必要です。

治療方法
  • 外用剤、腫れを抑える飲み薬の処方
  • マダニに刺された場合はマダニ切除

やけど

やけどをした場合は、すぐにその部位を流水または氷で冷やしてください。もしも服の上からやけどを追ってしまった場合は、服を着たままで良いので水道水で20分前後流すなどしてください。病院に来る間もアイスノンなどで冷やしながら受診しましょう。

 


やけどは深さによって治るスピードが違います。早めの処置であれば傷跡を目立たないようにすることも可能な場合もあるため、まずは皮膚科に受診してみることをおすすめします。
やけどの範囲が広い場合や深い場合は総合病院と連携して治療にあたります。

イボ(尋常性ゆうぜい)

ヒトパピローマウイルスが手足の角質の分厚い部位に入り込み、指先や足裏にできるイボです。
小さなお子さまの手足にできるものはミルメシアゆうぜいと呼ばれます。

治療方法

液体窒素での治療やヨクイニンの内服などを行います。
トリクロール酢酸の薬液でウイルスを不活化させ、表面を削ることもあります。

水イボ

ポックスウイルスによる白くて小さなイボです。放置しておくと範囲が広がり、悪化して「とびひ」になることもあります。免疫力の低い子どもが発症することが多く、大人になるとこのウイルスには免疫ができ、かかることは少ないです。

治療方法

麻酔シール(希望に応じて)を貼ったあと、ウィルスの塊である白いイボをピンセットで取り除きます

じんましん

かゆみとともに赤く膨れた皮疹の出現を繰り返すじんましんは、喘息やアナフィラキシー、花粉症などと同じ『Ⅰ型アレルギー』と呼ばれるアレルギー疾患の1つです。
このⅠ型アレルギーは、アレルギー物質(抗原)が体内に入った際にIgEという免疫グロブリンが肥満細胞と結合し、肥満細胞がヒスタミンというかゆみ物質を放出することで発症します。10分から30分前後で症状が現れることから、即時型アレルギーとも呼ばれます。

 


じんましんは原因に関してはわからないことがほとんどですが、刺激、食べ物、薬、疲労、感染症、基礎疾患の有無などが関係していること多く、かゆみで生活を障害され、十分に睡眠がとれない方もいらっしゃいます。

 


当クリニックの院長は、広島大学病院皮膚科で長年じんましんの研究や治験に携わってきました。お薬の種類も治療法も多様です。なかなか治らないかゆみでお困りの方は、ぜひ一度ご相談ください。

水ぼうそう(水痘すいとう)

水ぼうそうは、水痘・帯状疱疹ウィルスによる急性ウィルス感染症で、感染力が強く、空気感染、飛沫感染、接触感染によって感染します。2週間の潜伏期間後、発熱などの症状とともに全身に小さな水ぶくれが現れ、1週間ほどでカサブタに変わります。
水ぼうそうが治癒した後もウィルスは体の神経節に潜伏感染し続け、免疫力が落ちた際やストレスを受けた際に神経に沿って皮膚に症状が現れる病気が帯状疱疹です。
帯状疱疹について詳しくはこちら

 


すべての発疹がカサブタになった後、登校(登園)が許可されます。

治療方法

治療は水ぼうそうのウィルスに作用する飲み薬です。傷跡が残らないようにかゆみ止めの塗り薬や傷の塗り薬を処方する場合もあります。

かぶれ(接触性皮膚炎)

かぶれ(接触性皮膚炎)は、化粧品や毛染め液、ゴム、金属製品などに接触して皮膚が荒れることをいいます。
小児の場合、おむつの擦れなどの理由も挙げられます。一時的な刺激、またはアレルギー性のものがあり、症状としては痒みや赤み、小さな水ぶくれをなどが挙げられます。

治療方法

接触を避けることが第一ですが、 炎症を抑えるため外用剤を処方する場合もあります。

湿疹

さまざまな原因から起こるかゆみを伴った発疹を湿疹といいます。
湿疹反応と呼ばれる皮膚の炎症変化を基盤として生じる疾患群で、体のいろいろな部位に起こりえます。
原因には、花粉やお化粧品、アレルギー反応、乾燥や汗の刺激などが挙げられます。
湿疹は繰り返すことが多い症状で、慢性化し、悪化する方もいらっしゃいます。

原因を特定や的確なアドバイスを行い治療にあたります。

水虫

水虫はカビ(真菌)の中の白癬菌(はくせんきん)という菌による皮膚症状です。
水虫には以下のタイプがあります。

 


体部白癬(たいぶはくせん) / 足白癬(あしはくせん)/ 爪白癬(つめはくせん)

診断方法

皮膚や爪を少し擦って、顕微鏡で菌の存在をチェックします。

治療方法

塗り薬を処方します。爪の水虫の場合は体調を考慮しつつ、飲み薬を処方することもあります。

おむつかぶれ

とてもデリケートで大人より皮膚が薄い赤ちゃんの肌。特におむつが触れている部分は、ポツポツと汗疹(あせも)のような湿疹ができたり赤みや傷ができて汁が出たりするなどの炎症を起こすことがあります。赤ちゃんはまだ話すことができないので、おむつを外した時にかゆそうな仕草をする、お尻を拭いたときに痛がって泣くなどといった赤ちゃんからのサインを見逃さないことが重要です。
医学的にこれらの症状は『おむつ皮膚炎』と言い、尿や便の刺激(アンモニアやプロテアーゼの刺激)、おむつの摩擦や密閉によって起こります。汚れが多い時はおしりをシャワーで流し、ゴシゴシこすらずやさしくケアしましょう。症状がひどい時は皮膚科でケアの方法を指導し、外用薬の処方を行います。